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山梨日日新聞(2020/8/4)「サフランの量産体制整備」

2020/08/04

社会福祉法人つくしの会(笛吹市石和町小石和)が運営する障害者サービス事業所「つくしの家」は、香辛料「サフラン」の製造販売を手掛ける
スリーピークス(甲府市増坪町)から、花のめしべを摘み取る作業を請け負っている。同社との農福連携事業をきっかけに、独自にサフランの栽培も開始。
収益向上と通所者の工賃アップを目指している。
香辛料のサフランは、サフランの花のめしべを摘み取って乾燥させた香辛料で、スペイン料理のパエリアや洋食のスープなどに使われる。
1つの花からめしべは3本しか採れず、乾燥させたサフラン0.4グラムを採取するのに必要な花は約200個分。スリーピークスは年間2キロ(乾燥状態)を生産しており、インターネットで販売しているほか、ほうじ茶やあめなどの加工品も製造している。

農福連携事業への参画は、スリーピークスの峰岸一郎社長とつくしの家所長の小越久史さんを、共通の知人が2016年に引き合わせたのがきっかけ。
当時、スリーピークスはサフランの栽培を始めたばかりで、峰岸社長が一人でめしべを摘み取っていたが、作業をつくしの家に委託した。
峰岸社長は「最初は『障害者にはできないだろう』という偏見があったが、教えるとあっという間に上手にできるようになって驚いた。
通所者は『わぁ、お花だ。きれい』と心から感激してくれ、ぜひお願いしたいとすぐに委託を決めた」と振り返る。

めしべの摘み取り作業は11~12月のみ。花が開花すると同時に花部分を切り取り、峰岸社長がつくしの家に持ち込む。花の量は多い日では大きなざる11個分。
細かい作業を得意とする通所者6~10人が丁寧にめしべだけを抜いていく。12月には球根を土の中に埋める作業もあり、この作業も農福連携事業の一環として委託している。

つくしの家は収益向上につなげるため、17年から峰岸社長のサポートを受けながら独自にサフランの栽培を始めた。施設近くの畑を借り、広い作業場、花を一時保管する冷蔵庫も知人などから提供を受け、量産できる体制を整備。施設で栽培した分は県外の障害者施設が運営するレストランに卸すなど、販路拡大を図っている。
小越所長は「スリーピークスがサフランを商品化するのを間近で見てきたため、自社商品を加工して販売するノウハウを学んだ。
今後は施設が主体的に新しい仕事を生み出せる体制をつくっていきたい」と話している。